ラング&ハイネは、新作ユニークピース「オリエント」を披露した。パリのギメ東洋美術館に所蔵される、古代アジアの陶器からインスピレーションを得た絵画がエナメル製のダイアルに描かれている。「フリードリッヒ3世」をベースに、顧客によって「オリエント」と名付けられたカスタムメイドの特別なモデルだ。
ラング&ハイネ「オリエント」
自動巻き。(Cal.Ⅵをベースにしたユニークモデル)。20石。18,000振動/時。パワーリザーブ約55時間。SS(直径39.2mm、厚さ10.5mm)。
ザクセンスタイルを受け継ぐ時計作り
ラング&ハイネは伝統的なザクセンの19世紀の時計作りを継承する2001年創業の時計メーカーである。現在もあらゆるパーツを自社で製造している。創業者のマルコ・ラングは時計師で、2002年にバーゼルワールドに初出展し、05年には独立時計師協会(AHCI)のメンバーとなっている。ラング&ハイネの時計作りには3本の柱があり、ひとつはクラシカル・ハイエンドなモデル、次に内製率を高め顧客に合わせたカスタムメイド、そして「ヘクトール」のようなスポーティークラシックである。
繊細な筆遣いが感じられるユニークピースならではのダイアル。本作のためにデザインされた控えめなブルースティール製の時分針にも着目したい。
本作は顧客によるカスタムメイドに分類されるモデルで、古代の茶碗から着想を得ている。パリのギメ東洋美術館に所蔵される作品を参考に、18Kホワイトゴールド製の文字盤にシャンルベ技巧を用いてブランドロゴと「MADE IN SAXONY」の文字が表現されている。秒針やインデックスを置かない代わりに、世界最高峰の磁器メーカーであるマイセンで訓練を受けた磁器画家が、ホワイトエナメルにブルーとブラックの花と草を文字盤の外周に描いている。
インスピレーションの源となったギメ東洋美術館に所蔵される白磁の茶碗。
時分針はこの時計のために特別にデザインされており、その効果を最適に発揮するためともいえるスリムで控えめなブルースティール製である。18Kホワイトゴールド製のケースのリュウズにはブルーサファイアがセットされている。
ムーブメントも特別仕様
ムーブメントにはゴールドではなくロジウムが採用され「pièce unique」と「Orient」という刻印が施されている。受けが細く歯車類の動きを鑑賞でき、通常赤い人工ルビー製である軸受けは、このムーブメントにおいてはクリアな人口石に置き換えられていることがポイントだ。
ベースとなっているモデルは「フリードリッヒ3世」である。クラシカルで上品なタイムピースに搭載されるムーブメントはキャリバーⅥである。原点に戻る、をテーマに開発され、キャリバーⅤの3角形の輪列ブリッジの形を踏襲している。安定した歩度で、機能性を確保しながらもエレガントな佇まいを守っているのがラング&ハイネの時計の特徴である。