●垂直方向にセットされたキャリッジの動きを視覚的にも楽しめる45mmのラジオミール
数々の見どころを備えたタイムピースですが、やはり真っ先に触れるべきはムーブメント。自社製手巻きキャリバー“P.2015/T”には、同社が特許を取得した革新的なデザインの「トゥールビヨン」を搭載しています。
世界三大複雑機構のひとつに挙げられる「トゥールビヨン」。これはごく簡単に言えば、時計の向きや位置の変化により、ムーブメントに対する重力のかかり方が変わってくることで生じる精度の乱れを制御する機構のこと。
時計の精度を司るヒゲゼンマイ、テンプ、アンクル、ガンギ車などで構成される調速機と脱進機を、まるごとひとつのキャリッジにまとめてしまい、キャリッジごと動かすことで重力を分散させて動力を一定に保つというダイナミックな機構は、言ってみれば重力からも自由になろうとする技術。
特にパネライのトゥールビヨンは、テンプの回転軸に対し垂直方向にセットされたキャリッジが、通常の倍に相当する30秒で1回の速さで回転するというユニークなもの。その姿は眺めているだけでも楽しく、つい見惚れてしまう美しさがあります。
パネライではこれまでもトゥールビヨンを搭載したラジオミールをリリースしていますが、45mmケース用に作られたトゥールビヨン搭載ムーブメントは今回が初となるもの。重さわずか15.30g、厚さ8mmにも満たないユニットにこうした緻密な技術が搭載されていることには、ひたすら驚くばかりです。
●使うほどに増すブロンズケースのヴィンテージ感はオーナーだけが味わえる醍醐味
またもうひとつ注目したいのが、ケースに用いられているブロンズ素材。
ブロンズはその性質上、時間の経過とともに酸化が進み、表面の色味が少しずつ変わっていきます。色合いの変化はそれぞれの環境によって変わってくるので、オンリーワンを育てる楽しさが味わえるのも醍醐味のひとつ。使うほどに増すヴィンテージ感が、クラシカルなクッションケースやしなやかなブラウンのカーフレザーとともに、パネライの歩んできた長い歴史を感じさせてくれるはず。
またこのブロンズケースをさらにひきたてているのが、ダイヤル全面を覆ったグリーンのコーティングです。原子層堆積法(ALD)なる技術を用いて施された酸化アルミニウムの皮膜が生み出す色調は、かつて軍用時計として重用されたこともあるラジオミールの歴史を想起させ、また同時にどこかノスタルジーをかきたてるような優しい雰囲気も漂わせます。
わずか45mmの小さなケースに、ブランドの持つ卓越した技術と奥深い歴史を詰め込んだ見事な1本。
なおカーサ パネライのオープン記念モデルとしては、他にチタンDLCケースにマットシェードサンドイッチダイヤル、リサイクルPanerai コピー素材由来のストラップを合わせた「ルミノール ビテンポ ニューヨーク エディション」が212本の数量限定で登場。
ケースバックに描かれたブルックリン橋のシルエット、“ニューヨーク”の名を刻んだリューズブロテクターレバーなど、こちらもコレクター垂涎の仕上がりとなっています。