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「型落ちモデル」が安くならない理由
そしてもうひとつが、国内購入即転売の問題である。日本の正規店で、もし運よくロレックスの人気モデルが買えたとして、それをその足で新品をプレミア販売する店に持ち込めば、買い取りで何万円、何十万円といった利ざやが生まれるのである。
これが一部の悪質な転売ヤーが行っていることだ。「ロレックスマラソン」を繰り返す人間のなかには、心からその腕時計を欲しがり、しかも正規店から買いたいと願う善良なファンがいることだろう。
だが、そこには確実に、転売だけが目的のプロランナーがいる。
その所業が非難され、それがために異常な購買行動に対する購入制限がかかったのである。ロレックスが買えない問題の奥底には、善良なロレックスファンが腕時計を買えなくなったという事情が横たわっている。
そもそも新品の市場ですらその状況が続いているだから、ユーズド(およそ1980年代以降)の市場でも同じようなことがいえる。
人気モデルに関していえば、現行モデルの中古だけでなく、ひとつ前のモデルでも価格は下がらない。ほかの消費財であれば「型落ちモデル」になるのだが、ロレックスの場合は必ずしも安くはならないのだ。場合によっては、プレミアが付いて売られているということも十分ありうるのが、ロレックスの事情である。
新品が手に入らないという状況が、新品に近いユーズドの相場を押し上げる。さらにモデルチェンジ前には、「もう手に入らなくなる」という心理で、最終モデルへの注目が盛り上がるのである。