2013年に第1作目が発表された「ナイツ オブ ザ ラウンドテーブル」シリーズ。10年目にあたる23年末、9作目の最新モデルが発表された。アーサー王伝説の「円卓の騎士」のワンシーンのみならず、精神までも表現した最新モデルは、卓越した技術力があってこそ完成するものだ。壮大なストーリーを連想させる騎士道の冒険はメゾンの職人たちの終わりない探求心に繋がっている。
上座・下座がない円卓は平等の精神を表しているといわれている。聖剣エクスカリバー、魔術師、聖杯を探究する、ドラゴン、恋愛といった冒険ファンタジーの要素が満載のアーサー王物語は特にヨーロッパで広く親しまれおり、現在でも海外ドラマのエピソードに組み込まれることも多く、ロジェ・デュブイにもインスピレーションを与え続けている。
13年に第1作目が発表された「ナイツ オブ ザ ラウンドテーブル」シリーズも今回で10年目を迎え、9作目となる。最新モデルは卓越した技術によって、アーサー王伝説の「円卓の騎士」のワンシーンのみならず、精神までも表現されている。
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ロジェ・デュブイ「ナイツ オブ ザ ラウンドテーブル」
本作では氷に閉ざされた脅威から王国を護るために12人の勇敢な騎士たちが伝説の円卓に召喚されたワンシーンを表現している。
自動巻き(Cal.RD821)。33石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約48時間。ダマスカスチタンケース(直径45mm)。3気圧防水。
アーサー王の伝説によると、上座・下座がない円卓は平等の精神を象徴しているといわれている。それぞれが持つ能力を結集させ、団結することで大きな難関を打破しようとする円卓の騎士はロジェ・デュブイが持つメゾンの精神につながるものがある。メゾンのマニュファクチュールの中核である前衛的なデザイナー、完璧を探究する時計職人、揺るぎない信念を抱く芸術職人たちは、現代の時計製造の道のりにおける騎士道伝説と言えるだろう。
12人の騎士たちはマイクロスカルプチャー技巧を駆使して製造されている。それぞれがレジン製模型で作成され、3Dスキャンの後、18Kピンクゴールドで型取りと鋳造が行われることによって、高さ6mmの英雄たちが誕生する。その後、熟練職人による手作業での彫刻によって、極細の剣や甲冑の微妙なニュアンスが表現される。
さらに、メインディスクの氷塊は、特殊な製造技法が用いられている。高い品質と外観の堅硬性で定評があるリモージュのビスケット磁器(またはビスクと呼ばれる)でコーティングし、粉雪のようなきらめきを添えているのだ。ビスケット磁器は1回目の素焼きを経て、その後釉薬をかけて2回目の焼成を行い、艶のあるガラスのような表面を得ることができる。光沢のあるガラス表面とマットな仕上げが生み出すコントラストは特筆すべき鑑賞ポイントだ。
各氷塊を一片ずつ立体的につなぎ合わせるためには、ロジェ・デュブイの熟練職人の技をもってしても騎士像の製作と合わせて完了までに1ヶ月の時間が費やされる。
本作で採用されたケースはダマスカスチタンである。チタンがタイムピースに与えるモダンな雰囲気をダマスカスの模様がさらに個性的なものとしている。鍛冶職人は最初にグレード2とグレード5チタン板金を積層し、焼き入れを行う。金属が焼けつくほど熱いうちに、最初の層がひとつのブロックに形成されるように激しく大槌で叩いて鍛造する。
このブロックを焼き入れしては圧延し、成形する鍛錬作業を繰り返し、切る、折る、加熱するといった作業を重ね、必要とされる層と折り目が形成されるまで幾度も焼き入れ工程を繰り返す。最後に、酸性の溶液に積層金属を浸す酸洗処理を施すと、グレード2チタンの層が透けて見え始め、金属ケース全体に優美な波模様が浮かび上がるのだ。